それ、一回の出来事を「ずっと」にしていませんか
――過度の一般化と、しなやかメンタルの育て方――
過度の一般化?
子育てをしていると、
ほんの数回、感情的になっただけで、
胸の奥に、こんな言葉が浮かぶことがあります。
「私は、これからずっとダメな親なんだ」
冷静に考えれば、
数回と、これから先の人生は、まったく別物です。
でもその瞬間、心は一気に未来まで連れていかれる。
人間関係でも同じです。
友人の態度が、いつもより少しそっけなく感じただけで、
「もう嫌われたんだ」
恋人からのLINEの返事が、
いつもより少し遅い。
それだけで、
「このまま返事が減って、
そのうち終わるんだろうな」
――こうして、
一回の出来事が、人生全体の結論にすり替わる。
これが、過度の一般化と呼ばれる考え方のクセです。
過度の一般化は、性格ではない
まず、はっきりさせておきたいことがあります。
過度の一般化は、
あなたの性格の問題ではありません。
前向きな意味を持った防衛反応でもありません。
実感として言えば、
メリットはありません。
ただ、
心のしなやかさが落ちているときに、
誰にでも起こりうる現象です。
睡眠不足が続いているとき。
トラブルが重なっているとき。
人間関係で嫌な体験をした直後。
あるいは、「何か起きそうだ」という不安が続いているとき。
そうした状態では、
世界を広く見る余裕がなくなり、
一つの出来事が、必要以上に大きく見えてしまう。
過度の一般化は、
「弱さ」ではなく、しなやかさが一時的に失われているサインです。
メタ認知は「気づいて終わり」ではない
ここで大切になるのが、
メタ認知という考え方です。
メタ認知というと、
「自分の考えに気づくこと」だと思われがちですが、
それだけでは足りません。
メタ認知は、
次の流れをたどります。
知る → 気づく → 考え直す(練習)→ 柔軟になる
まず、
人には思考のクセがあることを知る。
過度の一般化という現象があることを知る。
次に、
「あ、今わたし、
“ずっと”“全部”って考えているな」
と気づく。
ここで終わらせないことが、重要です。
気づいたあと、
一度でうまくいかなくていい前提で、
考え直す練習をする。
「人生全部」→「今日の一場面」
「ずっと」→「今は」
「私はダメ」→「今、ちょっとしんどい」
何度も、何度も。
うまくできない日も含めて、練習する。
そうして初めて、
思考が“正しくなる”のではなく、
心が柔軟になる。
これが、
しなやかメンタルにつながるメタ認知の役割です。
「こうありたい自分」が苦しさを生むとき
私たちは普段、
無意識のうちに
「こうありたい」「こうあるべき」自分を演じています。
良い親でいたい。
頼られる人でいたい。
仕事ができる人でいたい。
それ自体は、悪いことではありません。
でも、その自己像は、とても脆い。
誰かのちょっとした反応。
他人との比較。
一度の失敗。
それだけで、
「こうありたい自分」は、簡単に崩れます。
崩れたあとに湧き上がるのが、
怒り、嫉妬、恨み、そして自己攻撃です。
「なんて情けないんだ」
「どうして認めてくれないんだ」
けれど、
その怒りを外に向けることもできず、
結局は、自分を責めるしかなくなり、
さらに落ち込んでいく。
セルフ・コンパッションは「優しくすること」ではない
ここで必要になるのが、
セルフ・コンパッションです。
セルフ・コンパッションは、
「自分に優しくしよう」と言い聞かせることではありません。
それはむしろ、
負の側面を含めた『あるがまま』を、評価せずに引き受ける態度です。
今、うまくできていない自分。
嫉妬している自分。
怒りを感じている自分。
それを
「こんな自分じゃダメだ」と切り捨てず、
「人として、起こりうる反応だ」と扱う。
重要なのは順番です。
先に優しくなろうとすると、
多くの場合、うまくいきません。
柔軟に揺れ直せるようになることで、結果として自分を慈しめる。
これが、
セルフ・コンパッションと
しなやかメンタルの関係です。
相棒は「あるがまま」から「こうありたい」を育てる視点
ここで、相棒という言葉がでてきます。
私が、セルフサポートコーチングから着想を得て、トレーナーとして実践しているD-MCT(うつ病のためのメタ認知トレーニング)や、先ほど少し触れたセルフコンパッションの考え方から融合して生み出した私の理論相棒という考え方を推奨します。
相棒とは、
ネガティブな声でも、
自分を叱る存在でもありません。
相棒とは、
あるがままの自分を否定せずに、「こうありたい自分」を一緒に育ててくれる視点です。
多くの人は、
最初からその相棒を持っていません。
持っていなくて、当たり前です。
だからこそ、
内側から無理に探さなくていい。
外から、借りていい。
尊敬している人。
信頼している誰か。
俳優やアニメのキャラクターでもいい。
「この状況なら、
その人はどう考えるだろう?」
「相棒ならなんて声をかけてくれるだろう」
「相棒が困っていたら私はなんて声をかける?その声掛けを私自身にしてみよう」
そう想像するだけで、
思考のスケールが少し戻る。
相棒は、
感情の渦中で働くものではありません。
メタ的に一歩立ち止まれたときに、
助言と慈しみをくれる存在です。🧩
しなやかメンタルとは何か
しなやかメンタルとは、
折れないことではありません。
歪まない思考を持つことでもありません。
歪んでも、折れても、戻ってこられる力。
メタ認知で気づき、
考え直す練習を重ね、
セルフ・コンパッションで自分を切り捨てず、
相棒という視点で方向を見失わない。
その積み重ねが、
しなやかさを育てていきます。🧭
最後に
過度の一般化が起きたとき、
それは失敗ではありません。
「今、ちょっとメンタルはへこんでるけど、またしなやかにもとに戻る」
ただ、それだけのこと・・・ただそれだけのことに誰でもできるのです。
へこんでもいい。
うまくできなくてもいい。
戻る道があることを、
知っていればいい。
コンパスは、
その戻り道を、
一緒に探す場所でありたいと思っています。
しなやかなメンタルを手に入れるには悩みをためこまず吐き出して色々な考え方を知るのも有効です。
話してすっきり、その体験も重要です。よろしければコンパスのカウンセラーとお話しませんか?

人生相談保健室コンパス代表 ゴウ

