人生相談メンタルもやもや話
あなたは一流メンタリスト?
― マインドリーディングが人生をしんどくする話 ―
■ Ⅰ.あなたは今日も“誰かの心”を読み取って疲れていませんか?
たとえば職場で同僚に声をかけたら、
なんだか素っ気ない返事が返ってきた。
その瞬間、頭の中で勝手に物語が始まる。
「あ、これ絶対嫌われてる」
「昨日のあれ、気にしてるんだ……」
「何か悪いことしたかな」
……まるで自分が一流メンタリストにでもなったかのように、
相手の心を100%読み当てられる特別な力を持っているかのように、
“最悪の結論”だけは秒速で導き出してしまう。
これが、マインドリーディング(心の先読み癖)。
人は、実際に言われたことで傷つくより、
「言われたかもしれない」想像に疲れ果てる生き物です。
■ Ⅱ.マインドリーディングが生まれる瞬間はいつも「自分が疲れている時」
心が元気なときは、
「まあ、忙しいんだろうな」で終わります。
でも疲れていると――
・他人の機嫌が自分の責任に思える
・小さな態度が“拒絶”に見える
・過去の否定がフラッシュバックする
・不安が勝手に物語を作り始める
つまり、
マインドリーディングは“心の疲労インジケーター”であり、
性格の問題ではなく、
「心が追い詰められているサイン」でもあります。
■ Ⅲ.具体例:あなたの頭の中ではこんな会話が起きている。
◎ 例1:LINEの返信が遅い
現実 → 「忙しい」
あなたの脳内 → 「飽きられた/嫌われた/迷惑だった?」
◎ 例2:相手が少しそっけない
現実 → 「眠い・疲れてる・考えごと」
あなたの脳内 → 「絶対怒ってるよね……?」
◎ 例3:返信が“了解です”だけ
現実 → 「簡潔にしただけ」
あなたの脳内 → 「めちゃくちゃ冷たい!」
どれも、
事実は0%なのに、感情は100%で反応してしまう。
これが、マインドリーディングの恐ろしいところです。
■ Ⅳ.しかし、あなたは弱いのではなく「人に敏感」なだけ
ここが何よりも、大事にしてほしいポイントです。
マインドリーディングをする人は、
弱いわけでも、捻じ曲がっているわけでもありません。
むしろ逆で、
人に優しく生きようとしてきた人がなりやすい。
・空気を壊したくない
・相手の気持ちを尊重したい
・トラブルを避けたい
・人間関係を大事にしたい
その“繊細さ”が、
自分の不安と混ざったときだけ、
心を苦しくする形になってしまうのです。
■ Ⅴ.では、どうすればラクになるのか?
コンパス式・マインドリーディング脱出ワーク
ここからは、「考えすぎてしんどい自分」を少しラクにするための小さなワークをお渡しします。
★ ワーク1:
「私はいま不安だから最悪の予測をしてるだけでは?」と自分に聞く
“相手が怒ってる”のではなく、
“自分が疲れている”のかもしれません。
いきなりポジティブに考えなくてもいい。
ただ、「不安モードの私は、最悪の答えを選びやすい」と気づくだけで、
心の圧は少し下がります。
★ ワーク2:
“他の可能性”を3つ書いてみる
例:
・忙しいだけかもしれない
・寝不足で余裕がないのかもしれない
・たまたま短文で返しただけかもしれない
これを書き出すだけで、
「イヤな予測だけが真実ではない」と、心が思い出してくれます。
★ ワーク3:
「相手の心はわからない」と認める勇気
知らない、ということは、
「まだ決まっていない」ということでもあります。
「どう思われているかわからない」というのは怖いけれど、
同時に、
「悪い方に決めつけなくていい自由」でもあります。
★ ワーク4:
“事実と解釈の境界線”を引く練習
事実:返事が短かった。
解釈:「冷たい」「嫌われたに違いない」。
この二つを頭の中で分けてみる。
たったそれだけで、
解釈の嵐に巻き込まれにくくなります。
■ Ⅵ.最後に。あなたの“読みすぎ”は、優しさの裏返し
あなたが疲れているときほど、
心は“怖い物語”を作り出します。
でも、それは弱さではありません。
それだけ、人を大切にしようとして生きてきた証でもあります。
だからこそ、
他人の気持ちだけでなく、
自分の心にも同じ優しさを向けてほしいのです。
「たぶん私は、疲れているだけかもしれない」
この一言が、
マインドリーディングをそっと止めてくれることがあります。
そして――
ひとりで抱えなくていい。
コンパスは、そんな“考えすぎる心”を、
いつでも一緒にほどいていける場所でありたいと思っています。
人生相談保健室コンパス ゴウ

