おみくじと「脳のひとり歩き」

運命占い

― 私たちは日常で、何度も“運命占い”をしている ―

あけましておめでとうございます。
新年といえば初詣!神社で、つい手が伸びてしまうものがあります。

そう、おみくじ。

結び所にぎっしりと結ばれた白い紙の列を見ていると、
「みんな、少し先の安心がほしいんだな」
と、なんだか愛おしい気持ちになります。

おみくじを引くこと自体は、弱いことでも何でもありません。
むしろ「より良く生きたい」と願う、とても人間らしい健気な行為です。

ただ――。

結果を見た“その瞬間”、
私たちの頭の中では、案外大きな「事件」が起きています。

たとえば、運勢の欄にたった一言。
「待ち人:来ず」
「失物:出がたし」

そんな一文を見つけたとき。
「やっぱりな……」
「どうせ今年も報われないんだ」
「何をやっても、うまくいかないに決まってる」

一気に、まだ始まっていない一年の終わりまで、
思考がマッハの速さで駆け抜けてしまうことはありませんか?

でも実はこれ、おみくじの時だけに起きる特別なことではないんです。

仕事で小さなミスをした。
すると頭の中で、こんな声が響きだす。

「きっと裏で噂されている」
「評価が下がって、居場所がなくなる」
「もう、私のキャリアは取り返しがつかない」

まだ誰にも何も言われていないのに、
未来を先回りして、最悪の結末を“確定事項”のように占ってしまう。

これは、仕事のミスというカードを引いて、
勝手に自分専用の裏メニューとして
「運命:孤立」
と書き足しているようなものかもしれません。

恋愛でも、育児でも、人間関係でも。
私たちは日常のいたるところで、
自分を厳しく裁く「専属の占い師」を雇ってしまっているのです。

思考のクセ

心理学やメタ認知トレーニングの世界では、こうした思考のクセを「結論への飛躍」と呼びます。

脳は、不安なときほど「早く答えを出して安心したい」と焦ります。たとえその答えが自分を傷つけるものでも、「わからない」という宙ぶらりんな状態よりマシだと感じてしまうのですね。

もし、気持ちがストンと暗闇に落ちそうになったら。
ほんの一瞬だけ、心の中でこう呟いてみてください。

「……おっと、今、脳が勝手に占ったな」

未来は、まだ真っ白です。

今ここにあるのは、
「ミスをした」という出来事や、
「紙にそう書いてあった」というインクの跡。
ただ、それだけの事実です。

占いに頼りたくなるのも、自分で自分を占ってしまうのも、
あなたがそれだけ「一生懸命に生きている証拠」です。

「また占ってたな」「また飛躍してたな」
そう気づけた時点で、あなたのメタ認知のスイッチは入っています。

そのとき、あなたの心はもう、一段しなやかに、自由になっています。

新しい一年。
あなたの「コンパス」の針が、
正しさよりも、あなたにとって「楽な方向」を優しく指し示してくれますように。

運命占い

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