子どもに怒ってしまう悩み10問10答

ゴウ先生のあなたごと|子どもに怒ってしまう 10問10答|人生の保健室コンパス
人生の保健室コンパス
ゴウ先生のあなたごと

子どもに
怒ってしまう

10問10答
ゴウ先生

怒鳴ってしまった夜。あとに残る自己嫌悪。気づけば毎日、同じことをくり返している気がする。

「怒ってしまう」という一つの悩みを、10の角度からほどきました。怒りをなくすためではなく、その怒りが何を守ろうとしていたのかを知るために、読んでみてください。

ここに書いたのは、正しい叱り方の答えではありません。怒ってしまう自分を、責めなくていい理由を、ゴウ先生の目線でそっと置いています。ぜんぶ読まず、いまの自分に近い番号だけでも大丈夫です。
01
子どもに怒鳴ってしまう。母親失格ですか?
ゴウ先生の答え

怒鳴ったあとに「失格かも」と落ち込めること。それ自体が、あなたが子どもを大切に思っている証拠です。どうでもいい相手に、人はここまで胸を痛めません。

怒りは、性格の問題というより、心の余白がなくなったときに出る反応です。危ないもの、大変なものから、自分と子どもを守ろうとして、体が先に反応してしまう。あなたが選んで出しているというより、疲れきった心が、とっさに立ち上がっているのです。

怒鳴らない方法を探す前に、あなたが少し息をつける時間のほうが、先に要るのかもしれません。

02
怒ったあとの自己嫌悪が、いつまでも消えません。
ゴウ先生の答え

自己嫌悪が消えないのは、あなたが「そうしたかったわけじゃない」と、心の底で分かっているからです。その苦しさは、優しさが行き場をなくしている状態です。

怒った自分を責め続けても、次の怒りは止まりません。むしろ、責める声が心をさらに追い込んで、余裕をうばっていきます。もし親友が同じことで泣いていたら、あなたはきっと「そんなに自分を責めないで」と言うはずです。その言葉を、今日は自分にも向けてあげてください。

謝りたい気持ちがあるなら、もう十分に、あなたは親をしています。

03
気づくと、毎日のように怒っています。
ゴウ先生の答え

「毎日怒っている」と感じるとき、心は怒った日ばかりを強く覚えていて、穏やかに過ごせた時間を数えそびれています。人の記憶は、うまくいかなかった場面のほうを、濃く残すようにできています。

本当に毎日ずっと怒り続けている人は、そもそも「怒りすぎたかな」と振り返りません。振り返れているあなたの中には、ちゃんと穏やかな時間も流れているはずです。

「いつも」という言葉を、一度そっと外してみる。それだけで、見え方が少し変わることがあります。

04
上の子にだけ、強く当たってしまいます。
ゴウ先生の答え

上の子に強くなってしまうのは、あなたが上の子を「もう分かる子」として、どこかで信頼しているからでもあります。期待とは、その子を軽んじる気持ちの逆側にあるものです。

とはいえ、当たられた側の心と、当ててしまう側の後悔は、どちらも本物です。どちらかを否定しなくて大丈夫です。気づいてしまったなら、あとからそっと、その子だけの時間を少し作る。それだけでも、子どもは案外わかってくれます。

偏りに気づけたことは、責める理由ではなく、直せる余地がある証拠です。

05
怒りが止まらなくなる自分が、怖いです。
ゴウ先生の答え

怒りが止まらなくなるのは、あなたが冷たいからではありません。心と体が、限界のところで警報を鳴らし続けている状態です。危険を感じたとき、人の体は自分の意思より先に、戦うモードに切り替わってしまうことがあります。

だから、その瞬間に自分を「言い聞かせて止める」のは、とても難しい。止めることより、その手前で、心と体をどれだけ休ませられているかのほうが効いてきます。まずはその場を数十秒だけ離れる。深く息を吐く。体をゆるめる合図を、少しずつ思い出していく。

怖いと感じているなら、それは一人で抱えず、誰かと一緒に見ていっていいサインです。

06
怒ったあと、子どもに謝るべきでしょうか?
ゴウ先生の答え

怒ってしまったことより、そのあとどう戻ってくるかのほうを、子どもはよく見ています。ぶつかっても仲直りできる、という体験そのものが、その子の安心の土台になっていきます。

だから、完璧に怒らない親である必要はありません。「さっきは言いすぎたね」と一言そえるだけで十分です。それは弱さを見せることではなく、人との関係は直せるのだと、身をもって教えていることです。

謝ろうと思えた時点で、あなたと子どものあいだは、ちゃんとつながっています。

07
夫は怒らないのに、私だけが怒ってしまいます。
ゴウ先生の答え

怒ってしまうのは、あなたが一番近くで、一番多くを引き受けているからかもしれません。逃げ場のない場所で、休みなく向き合っている人ほど、感情はあふれやすくなります。

おだやかでいられる人と、あふれてしまう人。その差は、心の強さではなく、背負っている量と休めている時間の差であることが多いです。あなたが怒りっぽいのではなく、あなたに重さが寄っているのだとしたら、まず見直すのは性格ではありません。

「私ばかり」と感じるその感覚は、わがままではなく、大事なサインです。

08
「怒らない親」になりたいのに、なれません。
ゴウ先生の答え

怒らない親を目指すほど、怒ってしまった日の自分に、点を引いてしまいます。ゼロか百かで採点すると、少しのつまずきが、全部の失敗のように感じられてしまうのです。

目指す先は、怒りをゼロにすることではなく、怒っても戻ってこられること、かもしれません。怒らない親ではなく、怒ったあとちゃんと立て直せる親のほうが、子どもにとっては安心です。完璧な穏やかさより、揺れても戻る姿のほうが、ずっと人間らしくて伝わります。

なれない自分を責める代わりに、戻ってこられた回数を数えてみてください。

09
手をあげそうになる瞬間があって、自分が怖い。
ゴウ先生の答え

「怖い」と感じて、こうして立ち止まれていること。それは、あなたの中のブレーキが、ちゃんと働いている証拠です。本当に危ういのは、怖いとも思えなくなったときです。あなたはまだ、その手前で踏みとどまっています。

その瞬間が来たら、まず子どもと少し距離をとって大丈夫です。別の部屋へ行く、外の空気を吸う、それは逃げではなく、二人を守る行動です。追い詰められた心と体が起こす反応なので、意思の弱さではありません。

ただ、この怖さは一人で抱えないでください。誰かに話しておくことは、あなたと子どもの両方を守る、いちばん確実な一歩です。

10
自分も怒られて育った。同じことをしている気がします。
ゴウ先生の答え

とっさに出る言葉や声の強さは、頭で選ぶより先に、育ってきた中で体に染み込んだものが出てきます。だから「同じことをしている」と感じるのは、あなたが悪いのではなく、それだけあなたが、そういう環境を生き抜いてきたということです。

そして、そのことに気づいて「変えたい」と願っている時点で、あなたはもう、くり返しの外に出はじめています。染みついた反応は、責めても消えませんが、少しずつ上書きしていくことはできます。焦らなくて大丈夫です。

あなたが受け取れなかったやさしさを、いま自分に向けてみることから、その連鎖はほどけていきます。

「そう言われても、うまく
できない」そんな日も、あります。

できないことを、責めたいわけじゃありません。まず自分の気持ちを、ただ整理したいだけの人もいます。何をどう相談すればいいのか、わからないままでも大丈夫です。

コンパスは、そんなときのための場所です。答えを急がず、あなたの話をそのまま聴きます。

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本ページは情報提供を目的とした読みものであり、診断・治療を目的とするものではありません。心身の不調が続く場合や、安全に関わる不安があるときは、医療機関や公的な相談窓口にもご相談ください。
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ABOUT ME
吉田 剛

吉田 剛 Go Yoshida

看護師・保健師・養護教諭

精神科病院にて10年以上勤務し、多くの方の心に寄り添ってきました。
国立精神・神経医療研究センター主催のPTSD・摂食障害研修を修了。
トラウマインフォームドアンバサダーとして活動する傍ら、病院では週1回、「うつ病のためのメタ認知トレーニング」のトレーナーとして臨床にも携わっています。

「答えを出す」ことよりも、あなたの「心の中を整理する」お手伝いを大切にしています。

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